はてなブログ版はこちら:https://stone-coil-4423.hatenablog.com/entry/2024/05/16/123932
【注意】
この記事にはARGゲーム かがみの特殊少年更生施設のネタバレを含みます。
【目次】
かがみの特殊少年更生施設とは#
第四境界((https://twitter.com/daiyonkyokai)) が発表したARG(Alternate Reality Game、代替現実ゲーム)です。
実際に公開されているWebサイト「かがみの特殊少年更生施設」を調査し、隠された謎を調査していきます。
Youtube : https://youtu.be/GuqGU_GeeQM?si=gTtch1dyIsEVsx6v
この記事ではゲーム中に出てくるすマンガ「バイカラー・ムーン」に着目し、蒼乃にどのような変化が起こったのかを考えていきます。
プレイログ#
YouTubeに上がっているチュートリアル動画を見た後1人でプレイし、約3日かけてクリアしました。途中
検索単語の推測が必要箇所を見落としたり、検索語句の一部がかけていて記事がヒットせず詰まってしまう箇所が少々ありましたが、比較的スムーズにクリアできたかと思います。
施術段階とマンガの各バージョンの内容から蒼乃の変化について考えてみる#
ゲーム中に登場するマンガ「バイカラー・ムーン」の変化を追うことで、各施術段階で蒼乃にどのような変化が起こったのかを考えてみます。
マンガ「バイカラー・ムーン」の変化#
ゲーム中に登場するマンガ「バイカラー・ムーン」の変化を整理していきます。
各バージョンの変化点を細かく起こした影響で文字数のボリュームが多くなってしまいました。ご容赦を
この記事では各バージョンを下記のように呼びます。
# | 掲載箇所 | 呼び名 |
---|---|---|
1 | 施設公式サイト 116/127(LV9) | ネーム版 |
2 | 施設公式サイト 97/127(LV5) | 黒塗り版 |
3 | 施設公式サイト 52/127(LV3) | 下絵版 |
4 | X(Twitter)アカウント「気づいて」動画中 | 完成稿版 |
5 | 施設公式サイト 52/127(LV0) | Web掲載版 |
1. ネーム版#
テーマは「親友を失う記録から施設がイカれてることを知ってほしい」となる。
ストーリーは、
- 施設に入所した蒼乃が乙坂と出会い、乙坂の描く絵に衝撃を受ける
- どうしたら乙坂のような絵が描けるかと悩む蒼乃に対して、乙坂は共作を提案する
- 共作の中で互いの犯した罪を打ち明け打ち解けていく2人
- そんな中、乙坂がカネモリ式施術を受けることになり、日々変わっていってしまう乙坂を蒼乃は心配する
- 施設の秘密を知った蒼乃は次の施術対象に自分が選ばれてしまうが、マンガを描くことで施設の闇を知ってもらおうと決意する
2. 黒塗り版#
テーマは「親友と別れるまでの記録からあの時どうすればよかったのかを後悔する」となる。
ネーム版からの変化#
ストーリーの流れはネーム版からほぼ変化がないが、蒼乃の表情や核心に迫る部分は雑に黒塗りされている部分が多い。
【蒼乃がマンガを卒院制作に選んだ動機の変化】
施設の闇を知ってほしいというよりも、あの時どうすればよかったのかを後悔する意味合いに変化している。
- マンガ冒頭のモノローグ「大切な友人を失うまでの記録」→「大切な友人と別れるまでの記録」 [p.2]
- マンガ冒頭のモノローグ「施設がイカれてることを知ってほしい」→「誰か教えてほしい どうすることが正しかったのか」 [p.3]
- 「僕はマンガを描きます」という決意が表れている蒼乃の表情が消されている [p.80]
【蒼乃の心情変化の黒塗り・削除】
乙坂が施術前に描いた絵に対する感情(憧れ?)、乙坂と行った共作の中で見えた笑顔などが消されていることがわかる。
乙坂と共作した絵をどう感じればよいか混乱していることが読み取れる。
- 乙坂の顔が黒塗りされている [p.1(表紙)]
- カバーを取った絵(乙坂との共作?)を見て悲しそうな表情をする蒼乃が黒塗りへ [p.2]
- カバーを取った絵(乙坂との共作?)に「正しい絵」と追記 [p.3]
- 乙坂に促され天井に写った水面を見る蒼乃の表情が黒塗りへ [p.16]
- 乙坂の絵に「正しくない絵」と追記 [p.18]
- 乙坂の絵を見る蒼乃の表情が黒塗りへ [p.24,25]
- 乙坂の絵を見て「どうしてこんな絵が…」とつぶやく蒼乃のセリフが消されている [p.25]
- 乙坂の絵を見て何かを感じているシーンのセリフが黒塗りされていたり、乙坂の絵、蒼乃を抱きしめる乙坂のコマが消されている [p.26-28]
- 描きたい絵を書いたという乙坂の話を聞いて笑う蒼乃の顔が消されている [p.29,30]
- 蒼乃「響の絵を見てだめだってわかった!オレの絵からはなんにも伝わってこない!!どうしたら響みたいな絵がかける?」→「響の絵を見て (空白吹き出し) どうしたら絵がかける?」 [p.40]
- 乙坂につれられて見た月の見える景色を見て、共作する絵のモチーフが決まった一連のシーンの蒼乃の表情(笑顔)が黒塗りに [p.42]
- 蒼乃の乙坂が共作を進めるシーンの蒼乃の表情(笑顔等)が黒塗り[p55]
- 共作した絵に対して「僕はこの絵をどう感じればいいかわからない」と追記 [p.56]
- 完成した絵に関して「こんな絵が描けるんだな」という蒼乃の表情が黒塗りされ、セリフも消されている [p.56]
- 乙坂との共作の絵にカバーを掛け、目を閉じる蒼乃の表情が消されている [p.76]
【蒼乃が起こした殺人事件の内容削除】
事件に関する描写がほぼ消されていることがわかる。
- 花城が学校から帰って来ない旨の電話がかかってくるシーンの「花城」の名前が黒塗りに [p.49]
- 花城が学校から帰って来ていないことがわかるセリフが消されている [p.49]
- 外水道での花城と蒼乃の会話シーンおよび花城の姿が消されている [p50-51]
- 高校の担任を刺すシーンが黒塗りに [p53-54]
- 高校の担任を刺したことを後悔していない蒼乃のセリフが消されている [p.54]
【乙坂に行われた施術内容と変化の削除】
施術が行われた乙坂に対する心配の表情、乙坂への施術を止めようとする蒼乃の行動が消されていることがわかる。
- 乙坂のカネモリ式の適用が決定した掲示を見て不安になる蒼乃の表情が黒塗りに [p.58]
- 心配そうにカネモリ式の内容を乙坂に聞く蒼乃の表情が黒塗りに [p.60]
- 部屋へ戻っていく乙坂を心配そうに見る蒼乃の表情が黒塗りに[p.65]
- 3号施術室で施術される乙坂を見て心配そうにする蒼乃の表情が黒塗りに [p.68]
- 「正しいことが素晴らしい」「妹は事故で死んだ」という乙坂のセリフを聞いて驚く青野の表情が黒塗りに [p.69]
- カネモリ式の内容を見た後、鉄格子ごしに月をみて乙坂を心配する蒼乃のコマが消されている [p.73]
- 4号施術室に入る乙坂を止めようとする蒼乃のコマが消されている [p.73-74]
- 乙坂との共作の絵にカバーを掛け、目を閉じる蒼乃の表情が消されている [p.76]
【カネモリ式施術に関する内容の削除】
カネモリ式施術の内容や重要機密に関するシーンが消されていることがわかる。
- 2号施術室に連行され暴れていると思われる乙坂の描写が黒塗りに [p.63]
- 乙坂「てん…せ……」のセリフが消されている [p.64]
- 3号施術室でカネモリ式(セ) X-3施術を行うシーンが黒塗りに [p.66-67]
- 資料室?と見られる場所でカネモリ式の資料を見る蒼乃の一連の描写が黒塗りに [p.70-72[
3. 下絵版#
テーマは「大切な友人と過ごした日々の記録から罪を犯した少年が必ず更生できることを伝えたい」となる。
ネーム版・黒塗り版から大きくストーリーが変化しており、絵を共作する中で自身の罪を悔いて更生する流れとなる。
また、蒼乃・乙坂それぞれの事件の描写はほぼ消滅し、カネモリ式施術に関する情報は改変されている。
黒塗り版→下絵版で発生した変化#
※ [p.X]は下書き版のページを示しています。
【蒼乃がマンガを卒院制作に選んだ動機の変化】
黒塗り版と大きく異なり、罪を犯した少年は必ず変われることを知ってほしいということになっている。
- マンガ冒頭のモノローグ「大切な友人と別れるまでの記録」→「大切な友人と過ごした日々の記録」 [p.2]
- マンガ冒頭のモノローグ「誰か教えてほしい どうすることが正しかったのか」→「みんなに知ってほしい 僕たちがこんなに変われたということを」 [p.3]
- 罪を犯した少年が必ず更生できることを伝えるためにマンガを描く描写へと変化 [p.71]
- 「僕はマンガを描きます」という決意が表れている蒼乃の表情が笑顔に [p.72]
- 花城にマンガを見せる描写が終盤に移動し、卒院制作でマンガを描く背景の役割へ変化 [p.70-71]
【ストーリー展開の変化】
乙坂が施術前に描いた絵に対する感情(憧れ?)に関するシーンが消滅している。
共作の中で自身の罪を後悔するストーリーに変化している。
- カバーを取った絵(乙坂との共作?)を見て悲しむ表情が、 嬉しそうにする表情へと変化 [p.2]
- 乙坂に促され天井に写った水面を見る蒼乃の表情が黒塗りから無表情寄りへ変化 [p.16]
- 乙坂の絵を見て何かを感じている描写が丸ごと削除
- 描きたい絵を書いたという乙坂の話を聞いて笑う蒼乃の顔から黒塗りでなくなっている(ネーム版に戻った?) [p.25,26]
- 乙坂にリンゴのデッサンを教えるシーンが追加されている(黒塗りに元々あった花城にマンガを見せるシーンの置き換え?)[p.27-31]
- 乙坂が父親を刺すまでの描写が圧縮された [p.34]
- 蒼乃「響の絵を見て (空白吹き出し) どうしたら絵がかける?」→「オレの絵と全然違ってた 感情がまっすぐ伝わってくる オレ響の絵が好きだ!」[p.37]
- 蒼乃「絵を描くと自分の中身が見えてくるよな だから怖いんだ 本気で描くのが」のセリフが追加 [p.38]
- 無断で抜け出して共作する流れが更生官に相談して共作を認めてもらう流れへと変化 [p.38-39]
- 絵を描くことを通してお互いに対話していると話している蒼乃と乙坂のシーンが追加 [p.49]
- 乙坂が共作を通して罪に向き合っているシーンが追加 [p.49]
- 脱走が更生官に見つかるシーンが削除
- 乙坂自身の願いでカネモリ式が適用されるような描写へと変化 [p.51]
- カネモリ式が適用される乙坂を同室のメンバーが明るく見送る描写へと変化 [p.52-54]
- 3号施術後に乙坂の絵を見た蒼乃のセリフが「見ててすごく安心する」へと変化
- 蒼乃が指でなぞる絵から月が削除されている [p.66]
【乙坂の性格の変化】
明るくやんちゃな性格から少し穏やかな性格へと変化している。
- 藤棚の上から蒼乃に声をかける乙坂の表情が大人しめへと変化 [p.9]
- ケンカ中に乙坂が林野を煽る描写が当たり障りのないものに [p.12-13]
- ケンカ中の乙坂の表情がクールなものに [p.12-13]
- 乙坂「(父親を刺したことは後悔)してない 正しいと思ってやったことだから」→「わからない うまく考えられない」[p.36]
- 月の船が出航する話をする乙坂のシーンが削除
- 卒院して行く乙坂の表情が虚ろなものから笑顔で手を振るものへ変化 [p.67]
【事件についての蒼乃の考え方の変化】
事件に関するシーンの大部分が削除され、事件を起こしたことを後悔するシーンが追加されている。
- キャンバススクレーパーを見て、蒼乃が起こした事件を思い出す描写が追加 [p.40-41]
- 蒼乃「オレの罪の話を」→「オレの友達の話を」[p.42]
- 蒼乃が担任を刺すまでのシーンが1コマに圧縮 [p.47]
- 蒼乃が担任を刺したことを後悔する描写へと変化 [p.47]
【カネモリ式施術の内容の変化】
カネモリ式施術の文言はなくなり、施術の内容自体も「己の罪と向き合う」という表現になっている。
- 施設の規則 五「反省の見られない者には『特別な処置』を行う」→「さらに己の罪と向き合いたい者は『悔悟の礼』に進むことができる」[p.4]
- カネモリ式の内容が、「いい子ちゃんになる教育」から「反省の気持ちが特に強いやつが受けるキツイもの、死んだやつもいる」と変化 [p.8]
- 乙坂が2号施術室に連れて行かれた後から3号施術のシーンまでの大半が削除
- 乙坂への施術シーンの代わり?に藤棚で卒院後の夢を語る乙坂のシーンが追加 [p.58-60]
- 父親を刺したことを後悔する乙坂のシーンで施術の影響でそうなったわけではないように改変 [p.64]
- 4号施術室に入る乙坂を止めようとする蒼乃のシーンが削除
- 蒼乃への施術適用を知らせる掲示内容が変化 [p.68]
【その他】
- 卒業制作にマンガを描くことを宣言する蒼乃の表情に涙が足されているように見える [p.64]
4. 完成稿版#
テーマは「学園(施設)の素晴らしさを知ってほしい」となる。
下絵版から大きくストーリーが変化しており、学園に入学した蒼乃が乙坂に正しい絵を教えられ優等生になっていく流れとなる。
舞台が更生施設から学園に変更されているほか、蒼乃・乙坂が罪を犯した描写は全カット、カネモリ式施術の内容についても実態と大きく乖離したものとなる。
ただ、変に施術室の描写が残ってしまっておりストーリ展開の違和感の元となっている。
下絵版→完成稿版で発生した変化#
※ [p.X]は完成稿版のページを示しています。
【蒼乃がマンガを卒院制作に選んだ動機の変化】
下絵版と大きく異なり、学園がすばらしいことを知ってほしいということになっている。
- マンガ冒頭のモノローグ「大切な友人と別れるまでの記録」→「僕が過ごした実りある日々の記録」 [p.2]
- マンガ冒頭のモノローグ「みんなに知ってほしい 僕たちがこんなに変われたということを」→「みんなに知ってほしい この学園のすばらしさを」 [p.3]
- 学園の素晴らしさを大勢に伝えるために蒼乃がマンガを描くことを決意する描写へと変化 [p.63]
【物語舞台の変化】
更生施設から学園へと変化している。ただ、窓の鉄格子などがあり少年院を思わせる描写はそのまま。
- 表紙の蒼乃・乙坂の手にかけられていた手錠が背中に生えた羽に変化 [p.1(表紙)]
- 施設の名前が「愛宝学園 かがみの…」→ 「くずがわ学園」 へと変化 [p.3]
- 施設ではなく次世代のリーダー候補たちがいる学園という表現が追加 [p.3]
- 「学園での学びは将来の飛躍に繋がる、各界の偉大な先輩たちが蒼乃を迎える日を心待ちにしている」という内容の更生官のセリフが追加 [p.4]
- 施設に入った経緯を同室メンバーに聞かれるシーンについて、何の罪を犯したかではなくなぜスカウトされたのかという表現に変化している [p.6]
- 学園の教育理念についての論文が学園理事の目に止まったということが蒼乃の学園(施設)入所経緯になっている [p.7]
- 蒼乃「アイツら絶対ヤバイやつらだ…」→「なんでこの学園にあんなのがいるんだ…」[p.14]
- 乙坂をくずがわ特例へと送り出す際のセリフが「シャバで会おうぜ!」→「先輩サイコーッス!」に変化 [p.44]
- 林野が乙坂にかけるセリフが「よう 親殺し」→「よう 落ちこぼれ特例」に変化 [p.45]
- (卒業する乙坂に対し)教官「以後正しく生きるように」→「くずがわ学園の教えを忘れずに 多くの人を導く者として羽ばたきなさい」[p.60]
- 卒院制作を決めるよう教官に指示されるシーンが卒業制作を決めるように先生に促されるシーンに変化 [p.62]
【ストーリー展開】
乙坂から蒼乃に提案して共作を行う流れが、蒼乃が乙坂に正しい絵を教える流れに変化した。
- 「乙坂の絵は正しくない あれじゃ見る人が混乱してしまう」という蒼乃のセリフが追加 [p.25,26]
- 乙坂にリンゴのデッサンを教えるシーンが削除されている
- 乙坂が学園(施設)に入った経緯が、父親を刺したことで学園(施設)に入ったことから、父親に暴行されたことに変化 [p.28-30]
- 蒼乃「オレは「正しい絵」を描いてきたから 響の絵を見たとき驚いたよ」→ 「絵には自信がある 響 きみは正しい絵を学ぶべきだ」 [p.31]
- 蒼乃「オレ響の絵が好きだ」→「せっかくこの学園にいるんだから君も何かになりたいんだろう」[p.31]
- 蒼乃「正しい絵を身につければものの見方も変わる (中略)一緒に未来を目指そう 世界を変えよう」というセリフが追加 [p.32]
- 蒼乃「絵を描くと自分の中身が見えてくるよな だから怖いんだ 本気で描くのが」のセリフが削除 [p.33]
- 蒼乃と乙坂が共作し自身の罪と向き合うシーンが、蒼乃が乙坂に絵の書き方を教えて「いい絵」を描けるようにするシーンに変化 [p.45-47]
- 「蒼乃と乙坂で共作した絵」→「蒼乃に教えられ乙坂が描いた絵」と変化し、絵の構図自体も変化(より芸術的技法寄りに(正しい絵?)) [p.37]
- 政策立案発表会などで乙坂が活発に活動する描写が追加(特別な教育機会選出につなげるための演出?) [p.38-41]
- 乙坂が父親を刺したことを後悔する描写がカット
【乙坂の性格の変化】
下絵版よりより大人しめに変化し、理性的な行動が増えた。
- 藤棚の上にいる乙坂が地面に降りられなくなり蒼乃に声をかけるシーンへと変化 [p.10]
- 乙坂「ここ 穴場なんだ こうすると世界が空とオレだけになる」→「でもここすっごく気持ちいいんだよ だーれもいない 空とオレだけ」 [p.11]
- 林野の攻撃を避けたり挑発的になる乙坂のシーンが単に林野の攻撃を受けてしまうだけに変化 [p.12-13]
- 乙坂「描きたい絵を描いた それだけ」→「ただ感じるままに描いただけ…」
- 蒼乃のおかげでくずがわ特例に選ばれたという流れに変化 [p.43]
- 乙坂に殴られた際の乙坂「やめてくれ…」→「お前は誰かを見下さないと不安で笑えないんだろ?」[p.47]
- 卒業後のことを語る乙坂「ここを出たらバリバリ働くよ シェルターを作るんだ 虐待されてる子供が逃げ込める場所」→「ここの大学院に進んで研究員を目指すよ くずがわ学園の教育理論をもっともっと進めていきたい オレはこの学園に救われたから」[p.50]
- 思考実験に関する描写が追加(自分の非を認める・過ちと向き合うといった乙坂のセリフ) [p.54-57]
- 見送る蒼乃に手を振る乙坂の手の振りが大きくなっている [p.60]
【蒼乃の性格・事件描写の変化】
事件描写はすべてカットされている。
蒼乃の性格が大人しめから明るく自信のあるものに変化している。
- 蒼乃が花城から相談を受けるシーン、担任を蒼乃が刺すシーンがすべてカットされている
- 蒼乃の自己紹介がおどおどしたものから明るいものに変化 [p.5]
- 蒼乃「オレは「正しい絵」を描いてきたから 響の絵を見たとき驚いたよ」→ 「絵には自信がある 響 きみは正しい絵を学ぶべきだ」 [p.31]
【カネモリ式施術の表現の変化】
カネモリ式施術のことを「特別な教育機会」という先進教育のような表現に変化した。
- 施設の規則 五「さらに己の罪と向き合いたい者は『悔悟の礼』に進むことができる」→「優秀な生徒には『特別な教育機会』を与える」[p.4]
- 「悔悟の礼(カネモリ式)」→「特別な教育機会(くずがわ特例)」[p.7]
- くずがわ特例は特別に見込まれたヤツが受けられ、そのまま卒業して指導者としての道を照らすもの(死ぬようなものでない) [p.8]
- 「悔悟の礼(カネモリ式)」→「特別な教育機会(くずがわ特例)」となったことに合わせ乙坂が選ばれた際の掲示内容が変化(蒼乃の場合も同様) [p.42,61]
5. Web掲載版#
完成稿版と比較してストーリー面での変化はほぼなく、施設や蒼乃たちの情報が特定できないような改変が主になる。
完成稿版→Web掲載版で発生した変化#
【更生施設の秘密につながる情報の隠蔽】
少年更生施設を思わせる描写、施設の重要情報につながる文言等が改変されている。
また、学園という設定上不都合が生じるシーンの改変も行われている。
- 教室のクリスマスの装飾が黒塗りされている [p.2,他]
- 生徒の腕にあるマークが白塗りに
- 学園の名称が「くずがわ学園」から「 学園」に [p.3,9]
- 学園の塀にある有刺鉄線、監視カメラ、窓の鉄格子、教室や廊下のポスター、標語等が白塗りに
- 寮の部屋番号(203号室)の表記が削除
- 規則 三「使えるトイレは部屋のみ」→「トイレは廊下の突き当たりだ」 [p.4]
- 坂田(琴吹)「お前何やってスカウトされたんだ?」→「よろしくな 鈴木!」[p.6]
- 学園の入学経緯を聞かれる蒼乃の場面が、単に学園に来れて嬉しいというシーンに変化 [p.7]
- 山下(秋宗)「(くずがわ特例を)受けた者はみんなそのまま卒業した」→「(特別優等賞に)選ばれると寮もカリキュラムもオレたちと変わる」
- 山下(秋宗)「我々の指導者としての道を照らすはずだ」→「我々の未来を飛躍させるすばらしいチャンスだ!」[p.8]
- 乙坂が藤棚にいるシーンが適当な屋根の上にいるシーンに変更 [p.10]
- 蒼乃(鈴木)「見つかったら独房に入れられるぞ」→「見つかったら怒られるだけじゃすまないぞ」[p.10]
- 乙坂が藤棚にいるシーンが適当な屋根の上にいるシーンに変更 [p.10]
- 乙坂(加藤)の絵の周りの絵が白塗りに [p.24]
- 黒板の日付「6月28日(火)」が黒塗りに [p.25]
- 蒼乃(鈴木)「せっかくこの学園にいるんだから君も何かになりたいんだろう」→「もっといろんな絵を描きたいだろ?」[p.31]
- 蒼乃(鈴木)「正しい絵を身につければものの見方も変わる(中略)一緒に未来を目指そう 世界を変えよう」→「(もっと上手に絵を変えたらなという乙坂に対し)その通り!(中略)一緒にがんばろう!」[p.32]
- キャンバス裏側にある「JReP」の文字削除 [p.34]
- 灯台のある風景のスケッチが削除 [p.35]
- 政策立案発表会の日付9月9日および、乙坂(加藤)が考えたテーマ題名が削除 [p.39]
- 乙坂(加藤)「他のグループに今年の『少年犯罪白書』をおさえられたらマズい」→「他のグループに必要な資料をおさえられたらマズい」[p.40]
- 「ケアハウスかがみの」、「矯正の歴史」の文字が白塗りに [p.41]
- 蒼乃(鈴木)「新しい絵を描くのか?」乙坂(加藤)「うん 卒業制作を描けってさ」蒼乃(鈴木)「卒業か… おめでとうだな 寂しいけど」乙坂(加藤)「んー…ああ」→蒼乃(鈴木)「新しい絵を描くのか?」乙坂(加藤)「そ どうかな」蒼乃(鈴木)「うん いいね!」乙坂(加藤)「お やった」 [p.45]
- 乙坂(加藤)「けっこうゴミが溜まっててさ 隣の木クヌギだし」→「けっこうゴミが溜まっててさ 掃除してたんだ」
- 乙坂(加藤)「ここの大学院に進んで研究員を目指すよ くずがわ学園の教育理論をもっともっと進めていきたい オレはこの学園に救われたから」→「学校の先生になるよ 子どもたちの成長を手助けしたい オレはこんなすばらしい場所で最高の教えを受けられて本当に幸せだ」 [p.50]
- 教官「今日は思考実験の話だ」→「これは古典的な問いだが…」[p.54]
- 黒板の「思考実験『救命ボート問題』」の文字が黒塗りに [p.54]
- 見送る蒼乃(鈴木)に手を振る乙坂(加藤)のシーンの雪が削除 [p.60-61]
- 教官「卒業までの計画が決まった 卒業制作を始めよう」→「卒業までの計画が決まった 最後になにか作ろう」 [p.62]
【蒼乃らの特定につながる情報の改変】
蒼乃らの情報(名前や事件)の特定につながる情報が改変、削除されている。
- 登場人物の名前の変更:「蒼乃 晴翔」→「鈴木 渉」、「乙坂 響」→「加藤 彰」、「林野 廣剛」→「齊藤 哲也」、「花城 璃子」→「高橋 紗季」、「山下」→「秋宗」、「内藤」→「公門」、「清水」→「鍵政」、「坂田」→「琴吹」
- 生徒や教官のネームプレートが白塗りに
- 蒼乃(鈴木)が通っている絵画塾のポスターが白塗りに [p.19]
- 絵画塾の講師「やっぱり画伯の血なのかな」→「キミは本当に優秀だ」
- 蒼乃(鈴木)が通っていた高校の像?や制服・カバンの校章が白塗りに
- 蒼乃(鈴木)の父親が読んでいる新聞の文字「緊急事態宣言」が白塗りに [p.21]
- 蒼乃(鈴木)が父親と話している部屋のトロフィーや盾が白塗りに [p.21]
- 蒼乃(鈴木)の父親「今期の入塾生にも見込みがあるのはいないな みんなマンガに毒されすぎていて線に品がない」→「今の若者はだめだな マンガの読みすぎだ」[p.21]
- 蒼乃(鈴木)と花城(高橋)の教室から見える観覧車が白塗りに [p.23]
- 蒼乃(鈴木)「オレのお父さんは画家なんだ 絵描きの世界じゃ結構有名で いつもオレの手本だった 難しい技法もマスターしてたくさん褒められた」→「僕は小さい頃から絵が大好きで 毎日いっぱい描いて練習してきたんだ 難しい技法もマスターしたし」[p.30-31]
- 蒼乃(鈴木)「せっかくこの学園にいるんだから君も何かになりたいんだろう」→「もっといろんな絵を描きたいだろ?」[p.31]
- 蒼乃(鈴木)「正しい絵を身につければものの見方も変わる(中略)一緒に未来を目指そう 世界を変えよう」→「(もっと上手に絵を変えたらなという乙坂に対し)その通り!(中略)一緒にがんばろう!」[p.32]
- 美術道具入れにあるキャンバススクレーパー?が白塗りに [p.34]
- 岬にある灯台が削除 [p.48]
- 乙坂(加藤)「春にはキレイに咲くんだろうな その頃オレはいないけど」→「僕 特別優等賞を受けて どんどん自分が変わっているのがわかる」 [p.49]
- 乙坂(加藤)「もしも生き残ってしまうなら 残りの人生をかけて過ちと向き合いたい」→「もしも生き残ってしまうなら 全力で再発防止に努めます」 [p.56]
- (卒業する乙坂(加藤)に対し)教官「くずがわ学園の教えを忘れずに 多くの人を導く者として羽ばたきなさい」→「今後の活躍に期待しているよ」[p.60]
- 見送る蒼乃(鈴木)に手を振る乙坂(加藤)の手の振りが削除 [p.60]
【暴力的シーンの改変】
暴力的シーンが通常の会話のように改変されている。ただし、セリフのみの変更のため表情があっていない。
- 齊藤(林野)「落ちこぼれ!」→「元気か」[p.12]
- 乙坂(加藤)「デカい声ださないでよ…」齊藤(林野)「てめえ見てっとイライラすんだよ!」→乙坂(加藤)「やあ」齊藤(林野)「そんなところに上ってたのか」 [p.12]
- 齊藤(林野)「てめえのせいでここのレベルが下がってんだ さっさと辞めろツラ汚し!」、乙坂(加藤)に頭突き、蒼乃(鈴木)「お おい…!」→齊藤(林野)「危ないだろ!」、乙坂(加藤)に頭突き、蒼乃(鈴木)「ま まあまあ…」[p.13]
- 蒼乃(鈴木)「なんでこの学園にあんなのがいるんだ…」→「あちゃー」[p.14]
- 生徒「あいつ頭のネジはずれてんだ ガチヤバww」→「あいつ何やってんだ 大丈夫か?」[p.14]
- 乙坂(加藤)の父親「角の酒屋火ぃつけてこい! オレには売れねぇだとよォ」→「ただいま いやあ寒いなー!」[p28]
- 乙坂(加藤)「またカネなしで行ったのか」父親「てめェ…なんだそのツラは (乙坂を蹴りながら)誰のせいでカネがねえと思ってんだ!」妹「お兄ちゃん!!」→乙坂(加藤)「ストーブつけるよ」父親「そうか(乙坂を蹴りながら)ありがとう やったあ! あったけえ」(絵とセリフのアンマッチがすごい)[p.29]
- 乙坂(加藤)「(学園に入ったのは)なんでかはわからない」→「父さん元気かな」[p.30]
- 齊藤(林野)「よう 落ちこぼれ特例 相変わらず(乙坂を殴りながら)へらへらしやがって」→「よう加藤 特例優等賞(乙坂を殴りながら)おめでとう!」[p.46]
- 乙坂(加藤)「…やめてくれよ」齊藤(林野)「お前 親に殴られた時も そうやってニヤニヤ笑ってたのか?」乙坂(加藤)「お前は(以下略)」→乙坂(加藤)「ありがとう」齊藤(林野)「お前ならとれると思ってたよ」乙坂(加藤)「齊藤もとれるさ」[p.47]
【カネモリ式施術の表現の変化】
施術に関する情報を隠すために、完成稿版から更に改変が行われている。
- 規則 五「優秀な生徒には『特別な教育機会』を与える」→「優秀な生徒には『特別な賞』を与える」 [p.4]
- 教官「各界の偉大な先輩たちは」→「先輩たちは」[p.4]
- 秋宗「くずがわ学園へようこそ!」→「研究院へようこそ!」[p.6]
- 「くずがわ特例」→「特別優等賞」[p.7]
- 「特別な教育機会(くずがわ特例)」→「特例優等賞」となったことに合わせ乙坂が選ばれた際の掲示内容が変化(蒼乃の場合も同様) [p.42,61]
- 乙坂(加藤)「オレの中で何か変わったのかも」→「こんな僕でもすばらしい賞がとれたんだ」[p.43]
- 各種施術室の名称がすべて保健室に変更 [p.47他]
- 3号施術室にある機器が白塗りに [p.52]
- ベッドに寝ている乙坂(加藤)に繋がれている点滴と頭に巻かれた包帯が白塗りに [p.59]
施術記録とマンガの内容から見る蒼乃の変化#
蒼乃の施術記録と先ほど整理したマンガ内容の変化から、
- 各施術段階の結果がどのバージョンのマンガに表れているのか
- 施術記録の記載以外で蒼乃がどのように変化してしまったのか
を考えていきます。
1号施術#
施術の経過観察では下記のように記載されていました。
施術直後は精神が不安定であり、集中力が散漫になっていた。(中略)睡眠時間が短いまま次の日を迎えることになるので、精神的にも体力的にも衰弱していく。めまいや頭痛の症状がみられ、よく保健室で休むようになる。この時点では十分な思考判断が難しくなっている状況であると言える。(蒼乃晴翔1号施術 施術内容報告書から引用)
精神的に不安定な状態を表しているのはネーム版を黒塗りしたり、マンガ冒頭のモノローグで「誰か教えてほしい どうすることが正しかったのか」と書かれている【黒塗り版】です。
マンガの内容からは、乙坂に対しての憧れ、共作した作品をどう感じたら良いのか分からない、起こした事件の黒塗りなど混乱している様子がわかります。
2号施術#
施術の経過観察では下記のように記載されていました。
(前略)術後、自分の犯した罪を反省するようになる。こちら側が問いかけてもいないのに常に過ちを改める言葉を述べ、自分に失望し始めているようだった。(以下略)(蒼乃晴翔2号施術 施術内容報告書から引用)
自分の犯した罪を反省するストーリーとなっているのは【下絵版】です。
またマンガの内容から、自分の犯した罪を反省するという蒼乃の意識がマンガ中の乙坂やカネモリ式の内容描写にも影響を及ぼしていることがわかります。
3号施術・4号施術#
施術の経過観察では下記のように記載されていました。
・3号施術
(前略)吐き気、嘔吐の症状がみられ、自分が何をしてこの施設にやってきたのか答えられなくなり、記憶の欠如も見られ始める。
また、たまに訳も分からず涙を浮かべ、自分自身の感情変化に戸惑っている様子も見られた。(以下略)(蒼乃晴翔3号施術 施術内容報告書から引用)
・4号施術
(前略)術後、我々更生官に対しての尊敬の意が見られる。それまで弱弱しい返事だったのに対し、この施術を終えてからは何事にも全力で取り組み覇気のある様子を感じた。卒院後は特務省更生局の元、与えられた仕事をこなすことになると伝えると、非常に嬉しそうに任務を全うしますと答えた。(蒼乃晴翔4号施術 施術内容報告書から引用)
記憶が欠如したのち誤って補完された結果、蒼乃自身が厚生施設を学園と認識したと考えられること、蒼乃の性格が明るく変化し乙坂に積極的に絵を教える描写があることから【完成稿版】が当てはまります。
またマンガの内容から、蒼乃が起こした事件や乙坂と共作した日々の記憶、カネモリ式に関する記憶が失われていることが分かります。
加えて「くずがわ特例」「思考実験」「政策立案発表会」など突然出現した文言がありますが、下記のような可能性が考えられます。
- 記憶の欠如が発生した際に、施設職員によって整合性が合うように記憶を調整された
- 記憶の欠如は発生したものの、施設に関する情報の記憶は完全には消えず蒼乃が無意識にマンガ中に出てしまっている
Web版の掲載をどのように見るか#
下記の理由から蒼乃ではなく施設の職員が完成稿版を改変してWebに掲載したと考えられます。
- 改変内容が雑に白塗り等されていてマンガを描くことに慣れている蒼乃が行ったとは考えにくい
- 絵柄を無視したセリフ改変が行われており違和感を覚える(特にケンカや暴力のシーン)
- セリフを改変した乙坂(加藤)の一人称に一貫性がない(通常は「オレ」、改変箇所は「僕」)
- 施設の機密情報につながるような文言や描写が数多く削除・改変されている
ただ、雑に改変したマンガを掲載することは施設に対する違和感につながるため、掲載理由に疑問が残ります。高い研究成果が出た事例の情報をアピールしたかったのでしょうか。はたまた、施設の闇を誰かに気づかせたかったのでしょうか。
最後に#
この記事では、ARG かがみの特殊少年更生施設中に登場するマンガ「バイカラー・ムーン」を中心に蒼乃の変化について考えてみました。
最後に感想を
このゲームをプレイするまではARGというものは知りませんでしたが、実際のWebページやSNSを用いて謎を解き明かしていく体験は臨場感がありました。特に、マンガを用いて少年たちの変化を見せる方法は新鮮でした。今後第四境界からARGの新作が出ることも発表されているようなので、ぜひプレイしてみたいと思います。
最後の最後に、マンガで心に残った表現を
ザザーンって めっちゃオンザビーチ
読んでいただきありがとうございました。ではまたどこかで 。
更新履歴#
- 2024/05/16 : 初版投稿